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あなたの給与は適正額?労働分配率から導く必要売上高

2016.03.26

Hand putting coins on golden money stacks

篠田です。1人の従業員を雇うとき、どれだけの売上高が必要か把握できていますか?人件費は最も大きな経費です。無計画に人員を増やしていくと、企業の存続に関わるレベルで、首を絞めることになります。

事業が軌道に乗ってくると、従業員を雇い規模を拡大しようとします。また、新しい事業を始める際に人員を増加させることもよくあります。

人件費は固定費の中でも特に圧縮することが難しい費用です。給与減額はモチベーションに大きく関わりますし、従業員は法律で守られているため簡単にクビにすることは出来ません。

しっかりと自社の財務状況を把握した上で、従業員の採用を考える必要があります。

給与の支払原資は?

例えば給与が月20万円の従業員を一人雇うとしましょう。この時、20万円の給与を支払うためには、どれだけの売上を見込むべきだと思いますか?

20万円!と即答してしまった方、残念!

20万円の売上を得るためには、仕入などの変動費がかかってくることをお忘れです。つまり、人を雇うことで20万円の売上増加が実現出来たとしても、変動費(仮に売上の40%とします)を差し引いた12万円しか残りません。この12万円から20万円を支払うと8万円の赤字です。さらに社会保険料などの費用も乗ってきますので、赤字額はさらに増えます。

給与は、売上から変動費を差し引いた「限界利益」から支払われます。給与額をまかなえるだけの限界利益を稼ぐ売上高を生み出さないといけないというわけです。

限界利益については以下の記事をご参考ください。

事業管理上理解必須の限界利益。粗利益とどう違う?

それでは、具体的にどれくらいの売上高を生む必要があるのか、少しずつ明らかにしていきましょう。

限界利益に占める人件費の割合は?

売上から変動費を引いたものが限界利益です。また、変動費の売上高に占める割合を『変動費率』、限界利益の売上高に占める割合を『限界利益率』といいます。

また、限界利益から給与などの人件費が支払われますが、人件費の限界利益に占める割合を『労働分配率』といいます。

図にすると以下のようになります。左から右に見ていただくとイメージしやすいかと思います。

労働分配率は、40〜60%が適正と言われています。低すぎる場合は従業員の働きに対して給与が少なすぎる可能性があります。逆に高すぎる場合は人件費が高すぎる、ということなのですが、どちらかと言うと人件費に対して利益が稼げていない、つまり効率性が悪いというケースが多いです。

労働分配率が高すぎる場合には人員の配置がえや、業務の棚卸、タイムマネジメントなどを行い、効率性を高めるための策を実行していく必要があります。

50%を切ることを目標にしたいですね。

限界利益率、労働分配率から従業員1人が稼ぐべき売上高を算出する

話を戻します。月20万円の給与を支払う場合、この従業員にはいくらの売上高を生み出してもらわないといけないでしょうか。限界利益率が60%、労働分配率が50%の会社をモデルに考えてみましょう。

まずは、給与を20万円支払う際にかかる社会保険料の会社負担分などを考慮する必要があります。ここでは簡便的に20万円を1.2倍した、24万円が社会保険料を含んだトータルの人件費とします。

24万円人件費が増加したとしても、労働分配率が上がらないようにしないといけません。労働分配率を下げずに24万円を支払うにはどれだけ限界利益を上げれば良いのか?労働分配率が50%ということは、限界利益のうち50%が人件費、ということです。

240,000円÷50%=480,000円

48万円の限界利益を稼げば、労働分配率を維持したまま24万円の給与が払えるというわけです。

では、48万円の限界利益を稼ぐにはいくらの売上が必要なのか?限界利益率は60%ですので、、

480,000円÷60%=800,000円

80万円の売上が必要という計算結果になりました。つまり、月20万円の給与を支払うためには、月80万円の売上を獲得するべき、ということです。

 

図にするとこんな感じ。右から左に見ていただくと分かり易いかと思います。

社会保険料込み24万円の人件費をかけて、売上を80万円増加させることが出来れば、増員は大成功です。

計数感覚がしっかりと身についている方はお気づきかもしれませんが、実は売上を80万円増加させなくても、40万円だけ増加することが出来れば赤字になってしまうことはありません。しかし、40万円しか売上が増やせないと、労働分配率が上がってしまいます。このような増員を繰り返していると効率性がどんどん悪くなり、赤字体質の財務内容になっていきます。

労働分配率に気を取られすぎるのも良くありません

ここまで紹介してきたことは、飽くまで会計的に目の前の事象を数値化しただけです。80万円の売上を稼ぐ見込みがあるのならば、安心して増員ができるということに変わりはありません。しかし、実際は人件費は将来への投資の性格も強いため、80万円以上稼げない事が絶対にダメだというわけではありませんので、ご理解ください。

ここまで読んでいただいた方は、新しい人員を増やすことは特に金銭的な面でリスクが大きいと感じられたかもしれません。しかし、今まで組織内になかったノウハウを取り入れることが出来たり、職場の雰囲気が一新したりと、単純に数値では表されないようなメリットも多く備えています。計画的に増員をして、より強い組織作りを実現させてくださいね。

 

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