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法人成りを考えるタイミングは?

2016.06.28

法人にしなくても十分仕事がありますし、優秀なスタッフもいます。程々に忙しいですが、休みはしっかりとれています。平日、家族との時間をあまり取れない分、休日は目一杯子供と遊んでいます。万が一私に何かあったとしても、子供たちが大学を出て、妻が老後まで生活できるだけの費用は出せるように、生命保険には結構お金をかけていますよ。自営業だと、万が一のときに誰も守ってくれませんからね…

これは、フリーランスのデザイナーとして開業し、現在では数名のスタッフを抱えるまでに事業を成長させた、個人事業の経営者の言葉です。

実は、法人成りをしていない事で、損している事に気付いていません…

篠田です。個人事業の事業内容を引き継いで法人を設立することを法人成りと言います。法人で事業を行うことのメリットを知らなかったり、法人成りを行うタイミングが分からないという方に向けて、今回は法人のメリットやデメリットにも軽く触れながら、法人成りについてまとめていきます。

※この記事は平成28年6月時点の法制度に従って書かれています。

法人のメリットとデメリット

法人で事業をすることのメリットをざっくりと挙げると以下のようなものがあります。

  • 節税対策が豊富
  • 税制度的に有利な事が多い
  • 資金調達が容易
  • 事業譲渡が容易
  • 信用度が高くなる

逆にデメリットは以下のようなものがあります。

  • 会計などを正確に行う必要があり事務負担が増加する
  • 税務調査が入る可能性が高くなる
  • 社会保険に強制加入
  • 交際費の上限がある
  • 赤字でも住民税が課税される
  • 様々なコストが法人契約することで高くなる

メリットに対してデメリットも色々とありますが、私はデメリットに挙がっているものは大したものではないと考えています。きっちりとやっていれば解決されるものがほとんどで、デメリット以上のメリットが法人成りすることで得られます

とはいえ、誰でも法人成りをすれば得をする、という訳ではありません。事業規模やタイミングによっては金銭的に大きく損してしまうこともありますので注意が必要です。次に法人成りをするべきケースを説明していきます。

法人成りをオススメするケース

個人事業の所得が多い場合

個人事業の所得税等と国民健康保険料、国民年金の負担額と、法人成りした場合の法人税等と社会保険の負担額を比較した時に、法人の方が少なくなる場合、法人成りのタイミングと言えます。

私の経験では、所得(≒利益)が1000万円を超えると法人のメリットが受けられる事がほとんどです。とはいえ、経営者の給与額など、その他の様々な要素によって結果は変わりますので、利益が500万円を超えた段階で試算をオススメしています。

なぜ所得が多いと法人の方がメリットが大きくなるのでしょうか。

高所得の場合、法人の方が税率が低い

個人事業の利益に課税される所得税の税率は5%〜45%と、所得が増えれば増えるほど税率が高くなっていく仕組みになっています。それに比べ、法人の利益に課税される法人税率は中小法人(資本金1億円以下、相互会社でない、大法人から支配されていない等)であれば、利益800万円以下は15%、800万円超は25.5%の税率となります。

所得税や法人税の他に、さらに住民税や事業税が課税されます。また、法人の場合は給与にかかる所得税もありますが、それを考慮しても所得の多い個人事業の税負担は法人よりも大きくなりがちです。

高所得の場合、国民健康保険料が法人の健康保険料よりも高くなる

個人事業で国民健康保険料を支払っている場合、保険料の決定方法は前年の所得金額によります。生活費として毎月30万円しか引き出していないとしても、事業全体の所得が1000万円であれば、それを基準に保険料が決定されるため、生活水準以上の保険料を支払わなければならないことが珍しくありません

それに比べて、法人で入る健康保険は、給与金額を基準に保険料額を決定します。つまり、役員報酬(経営者の給与)の金額が30万円であれば、この金額を基準に保険料が決定するので、法人の利益が1000万円であろうと1億円であろうと、保険料額が変わることはありません。さらに、法人で加入する健康保険は半額が会社負担となり、その分は全て経費となるため、利益を減らすことにもつながります。

法人成りすると経費になる項目が増える

法人成りをすると、個人事業で経費にならなかった次のものが経費に算入できるようになります。

  • 事業主(あなた)の給料…役員報酬という形で毎月一定額を支給することが出来ます。
  • 法人契約の生命保険料…契約内容によって保険料の一部〜全額が経費になります。保険は節税対策で使われる事もある大きな経費となります。
  • 役員(経営者)の社宅…法人で契約する事で役員の社宅の家賃の一部を経費とする事ができます。

他にもありますが、このような大きな経費項目が増えるため、税負担が軽くなります。法人は節税対策の方法も豊富なため、利益がしっかり出ている場合は大きなメリットを受けられます。

消費税を2年免税したい場合

お客様から預かった消費税は、事業者がまとめて納付しなければなりません。つまり、10,000円の品物を売って、10,800円を受け取った場合、あなたの利益になる部分は10,000円だけで、消費税の800円部分は事業者が金融機関で納付する必要があります。

しかし、すべての事業者が、預かった消費税を納付しなければならないわけではありません。基本的には課税売上高(消費税の課税対象となる売上)が1000万円を超えた場合、2年後の事業年度から課税事業者となります。つまり、課税売上高が1000万円を超えない限り、ずっと免税事業者となり、800円はあなたの利益にしちゃっても大丈夫なのです。

ここでポイントとなるのは、2年後に課税事業者となる、ということ。あなたが課税事業者かどうか判断するには、2年前の課税売上高が1000万円を超えているかどうかを見る必要があります

しかし、開業1年生のあなたは2年前に売上がありません。また、2年目も、まだ2年前の売上はありません。つまり、開業した最初の2年間は原則的に免税事業者となります。800円をあなたの利益に入れても問題ないのです。

このことから、免税期間の2年が済んでしまった個人事業主でも、法人成りをすることで再び2年間の免税期間を得ることが出来ます。法人としての売上実績は、設立時にはありません。ですので、個人事業の売上高がいくらであっても2年間は免税です。個人事業の免税期間が終了する時も絶好の法人成りのタイミングと言えます。※ただし、事業年度開始日から半年の間に、給与額が1000万円を超えると翌年から課税事業者となります。また、事業開始日の資本金が1000万円以上の場合、その事業年度から課税事業者となります。

消費税は中小規模の事業者であっても、少なくとも年間数十万円程かかることも珍しく無いので、法人成りすることで2年間の免税期間を得ることは、特に創業期においてはとても大きなメリットとなります。

信用度が売上に大きな影響を与えると予想される場合

一般的に個人事業よりも法人の方が信用度が高いと言われ、中には法人じゃないと取引お断り!という会社も存在するほどです。個人事業でもしっかりと組織的に事業を行う方もいらっしゃいますし、個人事業よりもいいかげんな法人があることも事実なのですが。

個人事業でもしっかりとビジネスを確立する事は可能です。なので、こだわりすぎる必要はありませんが、信用度を意識した方が有利なビジネスモデルも存在します。例えば、無資格でも出来る専門性の高いコンサルティング業や、インターネットで集客をする場合などは法人の方が有利に事業を進めやすいでしょう。

また法人の方が助成金が通りやすいこともあります。外から見ただけの信用度は個人よりも法人の方が圧倒的に高いため、信用度という点で不便を感じた際には、税制的なメリットを受けにくいタイミングであったとしても、法人成りを検討しても良いでしょう

資金調達を有利に行いたい場合

銀行などの金融機関は、個人よりも法人への融資を積極的に行っています。また、個人事業で借入する場合には連帯保証人(経営者の親族がなることが多い)を立てる必要がある場合がほとんどです。しかし、法人であれば、社長自身が連帯保証人になる事が可能なので誰かにお願いするストレスがありません。もちろん条件によっては追加の保証人を要求されることもありますが…。

また、法人は個人事業には出来ない方法による資金調達が可能です。それは出資を募ること。ベンチャーキャピタル(未上場の企業に投資するファンド)などに株主になってもらう事で、資金調達をする事が可能です。ただし、株主は法人の持ち主であり、会社にとって一番偉い存在となります。事業に関する報告を定期的に行わなければいけなかったり、コンサルティングを受ける事を条件として提示される事もあります。しかし、人脈構築や早期からの経営基盤安定という意味では有効な資金調達方法です。

このように資金調達は法人成りをした方が圧倒的に有利に行えます。自分の資金力以上の事業を運営できるため、いち早く成長したい方は法人で事業を行うべきです。ただし、もちろんリスクも高くなります。しっかりと事業計画を立て、正確な資金計画に則って運営しないと痛い目を見ることになりかねませんので、ご注意ください。

まとめ

法人成りをする事で事業がグッと前に進む事も珍しくありません。金銭的なメリットを得たい場合には、創業時は個人事業として開業し、軌道に乗ってきた時点で法人成りを検討すると良いでしょう。

創業期から良いスタートを切れる自信があるのであれば、急成長を目指していきなり法人で事業を始めることも良いかと思います。特に経営者が複数いる場合などは、法人で事業を行った方が金銭的な問題も少なくなります。

この記事に関する疑問や質問などございましたらお問い合わせフォームよりご連絡ください。

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