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財務分析入門!短期的な支払能力分析と対策

2016.05.20

篠田です。財務分析は難しい印象があるかもしれませんが、ポイントをおさえてしまえば、誰にでも行うことが出来ます。

普段、経営者は様々なリスクにさらされていますが、そのリスクのほとんどに気付かず経営を行っている事は少なくありません。財務分析を行う事で、はっきり目に見えていない自社の強みや弱みを把握し、問題の明確化や目標の具体的な設定が出来るようになり、経営戦略を立てる上で大きな助けとなります。

その中でも、今回は短期的な支払能力を測るための流動比率と当座比率について説明したいと思います。買掛金や未払金が資産に対して多すぎないか(少なすぎないか)、資産に換金性の低いものが多すぎないかなどを知ることができる、安全性分析の中でも基本的な指標です。

目次

  • 短期的な支払能力とは
  • 流動比率
  • 当座比率
  • 活用法(2つの指標を使う理由)
  • まとめ

短期的な支払能力とは

会計において、長期・短期の区分は1年を超えるかどうか、です。詳しくは以下の記事を参照してください。

貸借対照表とは?B/Sの中身を徹底解剖!

まずは長期的な支払の例を挙げます。銀行から融資を受けた場合、数年から数十年に渡って返済することがほとんどです。また、車や備品をローンで購入する際も、1年以上の返済となるケースは珍しくありません。

それに対し、短期的な支払は日常的に発生します。毎月多くの請求書が郵送され、その多くは数日から数カ月以内に支払うもので1年を超えるものはほとんどありませんね。また、返済期限が数年先の借入金であっても、1年以内に返済する予定があるものは当然、短期的な債務です。

この短期的な債務を支払うための資金力・能力を測るのが、今回の目的です。

流動比率

流動比率とは、流動資産と流動負債を比較することで短期的な支払能力を測る財務分析の指標です。

計算方法

流動比率は以下の計算式で求めることができます。

流動資産÷流動負債×100=流動比率

流動資産とは、現金や、1年以内に現金になるであろう(することができる)資産です。現金や預金の他に、売掛金や棚卸資産、仮払消費税なども含まれます。きちんと帳簿を作成している場合は流動資産という項目で集計されているはずです。

流動負債とは、1年以内に支払わなければならない債務です。主に買掛金や未払金、1年以内に返済予定の短期借入金などが該当します。こちらもきちんと帳簿を作成していれば、流動負債として集計されているでしょう。

流動負債に対して流動資産が何パーセントあるか計算することで、短期的な支払能力を測ります。

数値の目安

流動比率は180%〜200%以上が良いとされています。流動比率200%というのは、分析時点で、1年以内に支払う必要がある負債の金額の2倍の現金預金や売掛金や受取手形、在庫などの資産を持っているということです。すぐにお金になる資産がたくさんある安全性の高い会社ということになります。

この流動比率が100%を切ってしまう場合、非常に危険です。支払わなければならないものよりも、すぐにお金に換わる資産が少ないということですから、安全性が低く、資金繰りを含めた業績の改善が必要となります。

当座比率

当座比率とは、当座資産と流動負債を比較することで短期的な支払能力を測る財務分析の指標です。

計算方法

当座比率は以下の計算式で求めることができます。

当座資産÷流動負債×100=当座比率

当座資産は流動資産の内、特に換金性の高いもの(現金・預金・受取手形・売掛金・売買目的有価証券など)を言います。この中には棚卸資産(在庫)は含まれません。在庫は、買ってくれる人がいなければお金にはなりませんよね。そういう意味で換金性が低いと判断されます。

換金性の高い当座資産が、流動負債と比べて何パーセントあるかを計算することで、流動比率よりも厳しく安全性を分析することができます。

数値の目安

当座比率は120%〜150%以上欲しいところです。近く支払う必要のある流動負債の1.2倍から1.5倍は当座資産を確保したいということですね。当座比率は、流動比率と同じく短期的な支払能力を測る指標ですが、当座資産は換金性が高いので、より正確な支払能力を分析することが出来る指標です。

活用法

比較することが大事

比較する対象は、自社の前年実績(過去)や将来予測・目標(未来)です。また、同業他社と比較することも非常に有効です。現金が少なかったり在庫が多いのが当たり前の業種だと思いこんでいたら、実はそうじゃない事がほとんどです。

他社と比較する事で自社の弱点を知り、過去や未来と比較する事で成長する事ができます。ただし、中小企業の情報はなかなか無料で探すことが難しく、有料のサービスを使う必要があります。

TKCのBASTは良い情報が多く載っていますが、TKC会員の税理士にかかる必要がありますので、既にTKC会員以外の税理士としっかりとした関係が構築できている場合は難しいですね。もしもあなたがTKCの税理士にかかっているにも関わらず、他社との財務比較情報を得ていないとしたら、一度問い合わせてみるべきです。

TKC経営指標(BAST)

くれぐれも、「へぇ〜うちは流動比率○%なんだ〜」で終わってしまわないように…

2つの指標を使う理由

流動比率と当座比率、両方使う意味があるのか?厳しくチェックできる当座比率だけでいいんじゃないか?と思った方もおられるでしょう。

両方を使うことにはちゃんと意味があります。流動比率と当座比率を計算してみると、次のいずれかのパターンに当てはまります。そして、それぞれ対策が異なるのです。

1.流動比率、当座比率の両方が高い

短期的な支払能力の高い安全性の高い会社と言えますので、維持できるように定期的にチェックしていれば問題ないでしょう。

2.流動比率、当座比率の両方が低い

すぐにお金に換わる資産が少ないため、短期的な支払能力が低く、安全性が低い状態です。まずは、使っていない、もしくは利益効率の悪い固定資産が無いか確認しましょう。利益効率の悪い固定資産は処分し、現金化することで流動資産の割合が高くなり、安全性を高めます

また、少ない仕入で多くの売上を生み出す、高利益率の商品を販売する事も有効です。流動資産である売掛金が増加し、流動負債である買掛金が減少するため、利益の向上だけでなく短期的な支払能力も改善されます。現在の商品の原価率を下げられないか?高利益率の商品の割合を増やしていく事が出来ないか、しっかりと戦略を立てて実行していく事が大切です。

3.流動比率が高いが、当座比率は低い

在庫が多い傾向にあると言えます。2.で紹介した対策ももちろん有効ですが、まずは仕入を抑えて不要な在庫を減らす努力をする必要があります。また、不良在庫が多い場合は、倉庫をしっかりと整理して売れるものは売り、不要なものは処分しましょう。在庫の現金化により安全性が高まります。

まとめ

財務分析の安全分析の中でも最も基本的な短期支払能力の分析について書きました。

ただ、数値を眺めるだけでなく、その数値が何を表しているか、何をすればどのように変化するかを考える事が大事です。人の行動が、財務諸表の数値を作り出し、それを分析する事で行動の問題点を発見し、次の行動を改善する事が出来るのです。

ぜひ、財務分析を行動に落とし込み、成長につなげてくださいね。

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